小野高校科学探究科HomePage

「無限の可能性を持つみなさんへ」

講 師:
北播磨総合医療センター
初期研修医 清水彩香 先生

略歴
2005年4月 小野高等学校科学総合コース入学
2008年3月 卒業
2011年4月 三重大学医学部医学科入学
2017年3月 卒業
2017年4月(現在) 北播磨総合医療センター初期研修医

概要:
科学総合コースを卒業されていったんは薬学部へ入学。でも、自分の夢は女医になることだった。大学をやめ、浪人生活へ。先生の小学校での入院生活などにふれながら、やはり、自分の本当の夢を勝ち取るまでの課程を話していただきました。

生徒感想文より(抜粋):
・大学の受験についてや、高校での生活の仕方など様々なことをお話ししてもらい、今の私に足りないものをたくさん発見することができました。今の自分にできる最善のことを尽くして取り組んでいけたらと思います。
・清水先生の話を聞いて、やっぱり医学部を目指そうと思いました。「医学部行きたいけど無理だったら看護学部でもいいか」っていうのと「医学部に行ってやる」じゃ全然違うと思ったし、そんな生ぬるい気持ちじゃその程度の力しか身につかないだろうと思います。
・私にはまだ「絶対にこの職業に就きたい」という明確な目標はありませんが、「きっかけは様々」という言葉を聞いて、これから多くの体験をして何か一つの目標を見つけたいなと思いました。
・今日の話を聞き、絶対に曲げない意志を持つことがどれだけ大切かを知ることができた。僕には夢があるので、夢のために勉強をがんばりたい。
・私にも夢があります。目指す大学も決まっていますが、「茨の道」という感じです。でも先輩の話を聞いて様々なことを吸収することができ、勇気をもらいました。自分も夢に向かってがんばっていきたいです。
・「継続」というものがどれほど大切かということを教わりました。積み上げ、積み重ねていくと多く那智からとなり、時には我慢せねばならない時期もある。今回この言葉はとても強い印象を受けました。いくら道が険しくても勉強でも人作りの期間としても胎児なこの三年間を精一杯過ごしたいと思いました。

あなたの知らない生態学の世界

1:
研究者になるには…

高校時代には、生態学どころか「研究」というものについて何も知らなかった人間が、どう転がって今は生態学の研究者をやっているのか?先生自身の体験を聞き、研究とは何か、研究者になるとはどういうことか、研究のおもしろい点、大変な点などを聞きました。

2:
北極から熱帯まで色々な場所で行ってきた研究をいくつか挙げて、生態系の中で土壌微生物が果たしている役割について先生の研究内容を話していただきました。

略歴:
1980年、兵庫県で生まれる。 兵庫県立柏原高校を卒業後、1999年に広島大学に入学。
2008年に広島大学大学院生物圏科学研究科を修了し、博士(学術)の学位を取得。
早稲田大学での研究員時代を経て、現在は岐阜大学流域圏科学研究センター助手として同センターの高山試験地に勤務している。
専門は土壌微生物生態学、生態系生態学。
 
生徒感想(抜粋):
・大学名と偏差値だけで大学を選んでいましたが、本当に研究したい内容を考えて自分に本当にあった大学へ進学したいと思いました。
・文系に進みたいと考えているので、研究したりする機会は少ないかもしれないが、研究に限らず自分の取り組みを社会に公表すること、還元すること、そして評価を受けることの重要性を知りました。
・研究者が自分の研究論文をネイチャーなどの雑誌に載せると言うことだけでも審査が厳しく、大変なことだと知って驚きました。
・土壌に生息している微生物の多さに驚きました。また、炭素循環の仕組みが理解できました。
・微生物は大変小さいのに地球温暖化という非常に規模の大きいものに影響を与えるというのはおもしろいと思った。
・自分の知らないことが多く、生態学に興味を持つことができて佳かった。
・今までに微生物に興味を持ったことがなく、今回の話でたくさん新たな発見があっておもしろいと思いました。
・将来は研究職に就きたいと考えていましたが、ぼんやりとしたイメージしかありませんでした。今回のお話で自分の将来へのビジョンを明確にすることができた気がします。
・今「探究」の授業の中で自分たちの研究をやっているのですが、探究をする本当の意味を再確認できたので、これから一生懸命探究に取り組んで行こうと思います。
・研究者という職業は大変だとは思いますが、自分の好きなことを職業にし、それに向かって一生懸命努力している研究者の方々はとてもかっこいいと思います。私もそのような研究者になれるようにがんばっていきたいと、今日強く思いました。

視野逆転体験からわかる「意識」と「身体」の関係

講 師:
七五三木 聡(しめぎ さとし)
大阪大学医学系研究科医学専攻 准教授(医学博士)

研究内容、専門分野:
スポーツビジョン、スポーツ科学
大脳皮質の機能構築に関する研究

所属学会 :
・日本体力医学会
・日本生理学会
・日本神経科学会
・日本体育学会

概要:
イチローがヒットを打つ瞬間の動画を見ながら、イチローの脳の中でどんな処理が行われているかを考える。視野逆転めがね(上下逆転、左右逆転)をかけて、作業を行い、脳の中では「意識」と「身体」は別経路で処理が行われていることを体験。 無意識で身体が動く仕組みについて学んだ。

生徒感想(抜粋):
・視野逆転めがねをかけて実際に体験することで、無意識な行動が生活のほとんどを閉めているということに納得がいきました。
・意識より身体の方が間違ったりだまされにくいということに驚きました。身体は大きな理性であり、「行動」がズレを体験し、それを「修正する努力」を行うことによって現実になれていくことが大変印象に残りました。
・「景色を認識するのに0.1秒かかる」ということなど驚きの連続でした。普段体験できないことを視野逆転ねがめをかけることによって体験し、「意識」と「身体」の違いを知ることができました。
・今回の実験から自分を動かしているのは「意識」の部分もあるけど「無意識」によるものが強いと実感できました。その「無意識」による行動は幼い頃からの失敗によるズレの修正でできていることがわかり、これからはたくさんのことに挑戦して、たくさんの経験を積んで行きたいと思いました。
・今日のお話を聞いて、私の持っていた固定観念を大きく塗り替えられました。人間の意識は人間の行動すべてをシハイしているとずっとそう思いこんでいました。しかし、今回の体験から意識が身体をすべてシハイしているのではないことがわかりました。実際に自分の身体を動かしながらの今回のコースセミナーは初めての体験ばかりで大変新鮮で楽しいものでした。
・今まで思っていることが覆りました。意識が人間の行動を支配していて、身体が隷属しているというのが常識だと思っていました。本当はそうでなく、身体の方が意識よりも現実を知っていることがわかり、大変驚きました。
・「体験による適応」はこれからの自分たちにとってとても大切だなと思いました。「書いた方が単語を覚えられる」などとよく聞くのですが、これは「体験による適応」だと理論的に知ることができ、よかったです。

薬を「創る」から「届ける」まで

講 師:
関口金雄 先生
兵庫県篠山市出身
名古屋大学医学部生化学講座において医学博士を取得

1. Pfizer 【1975-2006年】
卒業後、Pfizerに入社、名古屋の研究所に配属
同時に静岡薬科大学、引き続き東邦大学医学部微生物学講座にて各1年間以上の研究生として研究
帰還後、薬品の物理学的性質、合成、分析化学を経て、非臨床薬物動態を担当
名古屋大学医学部生化学講座に約6年間、研究生として在籍、医学博士を取得
その後本社で臨床薬理部の立ち上げのため異動、部長

2. Amgen 【2006-2008】
薬物動態並びにファーマコジェノミクス担当部長として、導入品の新薬申請を担当
武田による買収を機に、退社

3. Novartis【2008-2013】
毒性、薬理、薬物動態、試験実施、QCなどの機能からなる探索開発部の部長として、非臨床試験~臨床第Ⅰ相試験までを担当し、多くの新薬の承認を達成
日本薬物動態学会評議員

4. JCLバイオアッセイ【2013-Sep.2016】
定年後、地元に近い西脇のJCLバイオアッセイ(分析受託機関、CRO)に嘱託で入社製剤部門長、化学分析部門長並びにラボ所長


概要:
薬を創り、製品として届けるまでを詳しく話してもらいました。自然界から薬となる物質をスクリーニング、化学的に合成して、様々な治験を経て製品となるまで。研究がスタートしてから、実際にその化合物が薬になるのは約24000分の1。副作用がなくても、体内でどう代謝していくかも大切な問題。肝臓で分解され、体内で濃度がどう保たれているか、濃度が高いと副作用が、低すぎると効き目がなくなります。講義のあとではたくさんの生徒が薬学系の企業に入社するにはどんな進路があるなど、いろいろな質問に答えてもらいました。

生徒の感想文より抜粋:
・ゴルフ場のバンカーに生息していた微生物など、とても意外なところから薬になる物質が見つかることに驚きました。
・薬を開発するために実に多くの時間と手間、お金をかける必要があり、その手間と時間をかけた研究が僕たちの使っている薬の安全性を守っていることを知りました。
・創薬といってもいろいろな観点から、いろいろな人たちが関わっていることを知りました。薬学部だけでなく、生物、化学、工学部などの人たちも創薬に関わっていることがわかりました。
・臨床試験や動物・人体実験、副作用に関する話を聞いて、自分が飲んでいる薬がどれほど貴重なものか知りました。
・今まで意識したことのない薬の向こう側をしれた気がしました。
・難病として6000もの病気があることには驚きました。
・日本の薬が一番安全であるように思っていたので、日本の製薬会社に比べて海外の会社の方が売上額が圧倒的に大きいことに驚きました。
・当たり前のように飲み、私たちの健康を守ってくれている薬が、どのように創られ、どのような過程を経て私たちの手に届いているのか教えていただいたことで、私の薬に対するイメージが大きく塗り替えられました。
・薬もケミカルなものからバイオロジカルなものに変わり、医師の力が必要となっていく中で自分もその一員として社会に貢献できるように勉強していこうと思います。
・薬学部へ進学しないと薬の開発には関われないと思っていましたが、薬学部だけでなく、理学部や農学部などでも関わることができることがわかりました。そして薬は多くの学問の知恵が込められて開発されていることがわかりました。
・製薬会社の研究者になって、臨機応変に対応して素早く問題を解決できる「使える」研究者になりたいと思いました。

植物の生存戦略を考える

講師:
京都大学化学研究所 柘植知彦 先生

日程:
平成29年7月14日(木)
時間 12:50~14:30 100分
60分講義+30分観察・実験
場所 生物実験室(4F)

内容:
動物と異なり植物は移動することができない。それ故に環境に合わせて、多様な形作りをする可塑性が備わっている。環境応答に関わる最新の研究知見を講義し、皆さんの植物の概念を覆す実験と観察を予定します。

生徒感想より:
・葉から実ができることは衝撃的でした。
・日本とアメリカの大学の差について驚きました。
・進化というものが思っていたより早く起こることに驚きました。
・人類が手を加えることのできる遺伝子操作の範囲についてもっと知りたいと思いました。
・いろいろなことを学び、身近なことに興味を持って目を向けてみるとたくさんの発見ができるんじゃないかと思いました。
・自分がどれだけ葉というものを見ていないかわかりました。「来年、違う葉にならないのは遺伝子があるから」と知りました。
・オジギソウにライターで与えた熱の刺激がどんどん伝わって行くことに驚きました。
・先生の親指進化説を聞き、今風にするとどうなるだろうかと興味を持ちました。
・実も葉が変化したものであるということに驚きました。
・植物が環境に対していかに賢いかと言うことに驚きました。
・野菜や果物が心皮からできていると聞いて野菜を食べるときに「これは何枚の心皮からできているんだろう?」と興味が湧きました。
・野菜や果物の実験を通して新たな発見がたくさんあり、様々な視点から検証すると本当に世界は広いと強く思いました。
・セミナーを受けてとても生物にさらなる興味が湧きました。
・オクラを切って中を見たとき種子と種子を仕切る壁が二重にあることに気づきました。5つの部屋がくっついた感じがして驚きました。
・これまで当たり前としてきた前提条件や常識に対して踏み込んでいくことで視野がとても広くなることを学びました。
・いろいろなものを観察することで教科書とは違うものを知ることができました。教科書に裏切られたようなショックを受け、また、新しく知識が増えてうれしい気持ちになりました。
・何よりも「植物」というものに興味が持てたことが自分にとって1番の収穫だったと思います。
・心皮も何も思わずに見ると何もわからないけれど、心皮というものを知ると今まで何も思わなかった果実を見てこれは心皮だ、葉から進化したものなんだと奇妙に感じます。もっともっと回りのことに目を向けて身のまわりから疑問とその答えを見つけるということはおもしろく大切だなーと感じました。