三十秒にかけた愛と夢(H22.9.21)


三十秒にかけた愛と夢
〜解題第六十三回体育大会着付け競争〜
              

スペインの空は曇天
コロセウムで闘牛士(マタドール)は深紅のマントを翻す
闘牛はすきを窺い後足で地面を蹴る
その熱情がリアルだ

オルレアンの青空の下で
ジャンヌ・ダルクがオレンジの旗を大きく振り
自由へと兵士たちを煽動する
ワインに酔いしれたか

千三百年の時を経て
飛鳥の草をはみつづけた雄鹿が
石舞台の上で
角を矯(た)めている

三十秒にかけた空蝉の愛と夢が
今 時空を越えて
九百五十五の魂の上空で弾ける

〜小野の遠眼鏡〜